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私とコンピュータ その3



 大学に進学すると、いきなり「情報処理概論」と「情報処理演習」という科目があった。 私の場合専門では無く、一般教養課程の選択科目である。「概論」の方は、それこそ、 本当に概論であった。我々門外漢に電算の概要を説明してくれるのだ。授業内容は、 二進数等に関しては説明されなくてもわかるのだが、結局のところコンピュータがオー プンリールのお化けのような形でなにやら計算しているという概念から抜けでる事は なかった。大学のコンピュータがどこどこのコンピュータにつながっているとか、新 しい電算センターの自慢話を聞かされても、なにがすごいのか皆目見当もつかなかっ た。

 「演習」となると、なにも理解していなくともプログラムは組まねばならない。この 時組もうとしたのが、学校の電算センターの大型コンピュータで実行するFORTR ANであった。「概論」でも説明はしたらしいのだが、覚えているわけもなく、全く理 解できないまま授業は進行していった。最終的にはプログラムを組んで実行し、出力 をレポートとして提出しなければならない。しかし言語自体が理解できていない上に、 それを実行させる方法が前時代的なものだった。まず、プログラムは専用のカードに 鉛筆でマークシート方式で記入していく。1行が1枚のカードになるわけである。こ うして何枚かのプログラムを組んだら、次にカードリーダーでそれを読み込ませる。 読み込むスピードはすばらしいもので、私の数枚のプログラムなど一瞬にして読み終 わり、隣に吐き出される。

 結果は、同室にあるラインプリンターに出力されるのだが、学生が次々に読み込ま せているため、出てくるまでに結構時間がかかる。中には同じマークシートを使って いるはずなのにカナを出力させている人間もいて、自分の無力さを思い知らされたり するのだ。そうこうしながら自分の学籍番号を探し、出てきたらその部分の用紙を切 りとって出来上がりである。内容を見ると、何か不都合があるらしく、期待される答 にはなっていないようだ。仕方がないのでカードを見直し、どこが悪いのかよく分か らないままマークシートをやり直し、再び挑戦するが結果は同じである。数度挑戦し たが、ことごとく惨敗に終わった。仲間も、ほとんど似たような状況であった。しか し、蛇の道は蛇、こういう場合にうまく単位を取るための情報というのは、情報処理 が全くダメでも流れてくるものだ。結局、自分の名前と学籍番号を記入したカードだ けを作成しておいて、中身のプログラム部分は他から借りてきて重ね合わせて入力す るのである。実に簡単な方法で、確実である。「可」といえども単位が取れるのだ。た だし、こういう場合に欲を出して「優」を取ろうなどと考えると墓穴を掘ることになる から、注意が必要であることは言うまでもない。


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